結論: 表面月額は「弥生≦MF(年払)<freee」、ただし総額は使う機能で逆転しうる

2026年7月14日時点の調査では、法人向け標準プランの表面価格はおおよそ次の構図だ(すべて税抜表示)。

  • 弥生会計Next ベーシックプラン: 年払い月額換算 4,200円 (年額 50,400円)
  • マネーフォワード クラウド会計 スモールビジネスプラン: 年払い月額換算 4,480円 (年額 53,760円 / 月払いの場合は 4,980円)
  • freee会計 スタンダードプラン: 年払い月額換算 8,980円 (月払いの場合は 9,980円)

これだけ見ると「マネーフォワード(MF)年払いか弥生」で決まりそうだが、実務ではそう単純ではない。請求書発行・経費精算・証憑保存(電子帳簿保存法対応)・部門管理など「会計の周辺」をどこまでプラン内で賄えるかが3社で異なり、必要機能を足し合わせた総額で並べ替えると順位が入れ替わるケースが珍しくないからだ。本稿は価格の選び方から解説する。

表面価格の比較表(2026年7月14日調査・税抜)

主要3社の法人向け料金プランおよびお試し期間のスペックは以下の通りである。

区分 freee会計 MFクラウド会計 弥生会計Next
法人・最小プラン ひとり法人プラン
年払い 2,980円/月
(月払い 3,980円/月)
ひとり法人プラン
年払い月額換算 2,480円
(※仕訳年500件制限)
エントリープラン
年払い月額換算 2,900円
(年額 34,800円)
法人・標準プラン スタンダードプラン
年払い 8,980円/月
(月払い 9,980円/月)
スモールビジネス
年払い月額換算 4,480円
(月払い 4,980円/月)
ベーシックプラン
年払い月額換算 4,200円
(年額 50,400円)
法人・上位プラン アドバンスプラン
年払い 39,780円/月
(月払い 47,780円/月)
ビジネスプラン
年払い月額換算 6,480円
(年額 77,760円)
ベーシックプラス
年払い月額換算 7,000円
(年額 84,000円)
個人事業主プラン料金 年払い 980円/月〜
(スターター年11,760円)
パーソナルミニマム
年払い月額換算 980円〜
やよいの青色申告オンライン
初年度無料キャンペーン等あり
無料トライアル 30日間 1ヶ月間
(※Amazonギフト最大1年還元キャンペーンあり)
最大2ヶ月間
(登録月の翌月末まで無料・自動課金なし)

※年払・月払の差、ユーザー数課金の有無、明細連携数の上限などプラン条件は改定されることがある。この表は目安であり、契約前に必ず公式の最新料金表で確認してほしい。

読み方1: 年払と月払の差はMFが最大

マネーフォワード クラウド会計(MF会計)は年払い割引の幅が大きく、年払いと月払いの差が実質2割以上となる(例:スモールビジネスプランは年払いで月額換算4,480円に対し、月払いは4,980円)。また、弥生会計Nextも年払いを選択すると月契約よりも実質2か月分お得になる料金体系をとっている。

通年利用が確定しているなら年払い一択だが、「まず3か月試したい」段階では月払いの柔軟さも捨てがたい。無料トライアル期間を活用し、使い勝手を検証した上で年払いに移行するのが安全だ。

読み方2: 「プラン内に何が含まれるか」で総額が変わる

表面の月額料金だけで比較すると弥生やマネーフォワードの年払いが安価に見えるが、周辺のバックオフィス機能をどれだけカバーできるかで実質コストは変動する。

  • 請求書発行: freee会計は会計プラン内で請求書の発行から売掛管理まで完結しやすい。MF会計は「マネーフォワード クラウド請求書」がパッケージプランに内包されているため、追加費用なしで高度な請求管理ができる。弥生会計Nextは、アカウントごとに会計・請求機能が3名まで無料で利用可能となっており、それ以上のユーザー追加や郵送代行等を行わなければ追加費用は発生しない。また、無料プランで月10通まで永続無料の外部ツール「Misoca」と連携することも実務的な選択肢となる。
  • 経費精算: freeeはスタンダードプラン(年払い8,980円/月)以上に経費精算機能(ワークフロー申請)が内包されている。MFは会計プラン内で簡易的な連携ができるが、本格的な経費精算は「クラウド経費」の別課金オプションとなる。弥生は他社ツールやExcel等との併用が前提となる。
  • 証憑保存(電帳法対応): 3社とも電子帳簿保存法に対応するストレージ機能(ファイルボックス、クラウドBox、スマート証憑管理)を標準提供している。ただし、アップロード容量や枚数制限、AI-OCRの読み取り件数の上限・従量課金ルールはプランによって異なるため、月間の証憑数が多い企業は注意が必要だ。
  • 部門・タグ管理: 部門別PLを作成する際、登録できる部門数や階層の上限がプランごとに異なる。例えば複数部門を階層化して管理したい成長企業では、上位プラン(アドバンスやビジネス)の契約が前提となる。

つまり「会計単体の安価なプランを選んでも」、請求書や経費精算を別サービスで契約すれば月数千円が上乗せされる。自社の業務リスト > 必要機能 > 3社見積の順で総額比較するのが正しい手順だ。

読み方3: 隠れコストは「移行」と「人」

料金表に出ないコストが2つある。ひとつは移行コスト(過去データ取込・科目設計・運用ルール作りの工数)。これについては、3社とも他社形式(特に「弥生会計」形式など)のCSVインポートに対応しており、乗り換えガイドやデータ移行機能を提供しているが、フォーマット調整の工数は一定発生する。

もうひとつは人のコストで、担当者のリテラシーに合わないソフトを選ぶと、毎月の記帳時間という形で永続的に時間を支払うことになる。freeeとMFの選び分けはfreee vs マネーフォワード徹底比較で述べたとおり、担当者の知識基準で選ぶのが原則だ。

ケース別・コストを抑えた構成の目安

  • ひとり社長・記帳は最小限: 弥生Nextエントリープラン、またはMF年払いのひとり法人プラン(※仕訳件数制限に注意)
  • 請求書発行が多い(月20通超): freee会計(発行機能内包)、またはMF会計(クラウド請求書が内包)
  • 経費精算を社員に展開: freeeスタンダードプラン以上 vs MF会計+クラウド経費 の見積勝負
  • 記帳代行を税理士へ丸投げ: 顧問税理士の推奨する標準ソフトに合わせるのが結果的にコスト減(多くは弥生かMF)

FAQ

Q1. 無料プランだけで運用できるか。

継続運用は現実的ではない。明細連携数・保存容量・出力機能に厳しい制限があり、決算期に詰まることになる。トライアルは「自社実データによる検証用」と割り切るべきだ。

Q2. 値上げはあるのか。

クラウド型サービスであるため、機能追加に伴う価格改定は随時行われる。ただし、年払い契約期間中に料金改定が行われた場合、現在の契約期間内は改定前の旧料金が維持され、次回の契約更新時から新料金が適用されるのが一般的だ。なお、年払いの途中解約における返金は原則不可となっているため注意したい。

Q3. 個人事業主はどれが最も安価か。

表面価格では弥生(やよいの青色申告オンライン)やMF(パーソナルミニマム)の年払いが競う。確定申告機能の使い勝手も含めると、単体のレビュー記事を読み比べて判断してほしい。

まとめ

料金比較の結論は「表面月額で選ばず、必要機能の総額で選ぶ」に尽きる。安価な入口は弥生かMF年払, 機能内包の一体感はfreee。総合的な選び方はクラウド会計ソフト比較ピラー記事、各社の実力は単体レビュー(freee会計レビューマネーフォワードクラウド会計レビュー弥生会計Nextレビュー)で確認できる。

※本記事は2026年7月14日時点の調査に基づく。料金・プラン構成は変動するため公式サイトで最新情報の確認を。

2026年最新:3社の料金プラン詳細比較

クラウド会計ソフトの料金を比較する際、月額料金だけで判断するのは危険である。実際の運用では、電子帳簿保存法対応・給与計算連携・請求書発行・経費精算などのオプション料金が加算されるため、「年間の総支払額」で比較することが正しい選び方になる。

以下に、個人事業主と法人(従業員10名規模)のそれぞれで、2026年7月時点の公式料金に基づいた年間総額を算出した。

個人事業主向けプランの年間総額比較

項目 freee スターター MFクラウド パーソナル 弥生 セルフプラン
月額料金(税込) 1,628円 1,408円 実質0円(初年度無料)
年額換算 19,536円 16,896円 0円→2年目 11,330円
確定申告対応 ○(全プラン) ○(全プラン) ○(全プラン)
電子帳簿保存法 ○(標準) ○(標準) ○(標準)
レシート読取 月5枚まで無料 月15枚まで無料 無制限
銀行口座連携数 無制限 無制限 無制限
2年間の総額 39,072円 33,792円 11,330円

個人事業主の場合、2年間の総額で見ると弥生が圧倒的に安い。ただし弥生のセルフプランは電話・メールサポートが含まれないため、会計初心者で操作に不安がある場合はベーシックプラン(年17,050円)を選ぶのが安全である。freeeはUIの使いやすさで個人事業主に人気があり、会計知識がなくても直感的に操作できる点が強みである。

法人向けプランの年間総額比較(従業員10名想定)

項目 freee ミニマム MFクラウド スモールビジネス 弥生 セルフプラン
月額料金(税込) 2,948円 3,278円 30,580円/年
年額換算 35,376円 39,336円 30,580円
給与計算(10名) +4,378円/月 +3,278円/月 +別途弥生給与
請求書発行 ○(標準) +308円/月 +別途Misoca
年間総額(会計+給与+請求書) 約88,000円 約82,000円 約75,000円(弥生製品統合時)

法人の場合、会計単体では弥生が最も安価だが、給与計算・請求書発行を含めた「経理業務一式」の総額で見ると、3社の差は年間13,000円程度に収まる。この価格差よりも、自社の業務フローとの適合性(銀行連携の安定性・APIの充実度・税理士との共有方式)で判断するのが合理的である。

料金以外で見落としがちな隠れコスト

クラウド会計の導入において、月額料金以外にかかるコストを事前に把握しておくことが重要である。見落としがちな「隠れコスト」を4つ挙げる。

  1. データ移行コスト: 旧会計ソフトからのデータ移行を税理士に依頼する場合、別途3〜10万円程度の費用が発生する。自社で行う場合は担当者の工数(8〜20時間)がコストとなる
  2. 研修コスト: 経理担当者だけでなく、経費精算を利用する全社員への操作研修が必要。マニュアル作成と研修実施で、初期に10〜20時間の工数を見込む
  3. API連携の追加料金: 外部サービス(Salesforce・kintone・Shopify等)との連携が必要な場合、連携ツール(Zapier・Make等)の月額料金が別途かかる。月2,000〜5,000円が相場
  4. サポート・コンサルティング料: freeeとマネーフォワードは上位プランでないと電話サポートが利用できない。導入初期にサポートが必要な場合は、上位プランの差額がコストとなる

タイプ別おすすめクラウド会計の選び方

料金だけでなく、自社の特性に合ったクラウド会計を選ぶことが長期的なコスト削減につながる。以下に、企業タイプ別のおすすめを示す。

企業タイプ おすすめ 理由
開業直後の個人事業主 弥生 セルフプラン 初年度無料で確定申告まで完結。会計知識がある人向け
会計初心者の個人事業主 freee スターター 簿記知識不要のUI設計。チャットサポート付き
従業員5名以下の法人 MFクラウド スモールビジネス 会計・給与・経費が一体で管理コストが低い
従業員10〜50名の中小企業 freee ミニマム + 給与 APIの充実度が高く、外部サービス連携が柔軟
税理士事務所との連携重視 弥生 税理士の利用率が最も高く、データ共有がスムーズ

なお、3社とも無料トライアル期間(freee 30日・マネーフォワード 1ヶ月・弥生 初年度無料)を提供しているため、最終判断の前に実際の操作感を試すことを強く推奨する。特に銀行口座のAPI連携が安定して動作するかどうかは、トライアル中に必ず確認しておくべきポイントである。


【記事情報】
・監修:本記事は税理士等の有資格者による監修を受けていません。
・免責事項:本記事は公開・更新時点の公表情報に基づき執筆していますが、個別の税務判断については管轄税務署または担当税理士へご相談ください。各サービスの料金・機能の最新情報は各公式サイトをご確認ください。