会計システム比較
更新 2026年7月8日 / 読了 約15分

クラウド会計ソフトは、年間の仕訳件数・会計に触る人数・顧問税理士の環境の3つでほぼ決まります。本記事では主要3社を14項目で比較し、条件別にどれが向くかを整理しました。料金はすべて年払・税別で、各社の公開料金から3名利用時の年額を算出しています。

1. 自社の条件で候補を絞る

以下の3つを選ぶと、条件に合う製品と、合わない製品の理由が表示されます。判断に使っているのは公開されている上限値と料金だけです。

1. 自社の条件で候補を絞る
年間の仕訳件数
会計ソフトを触る人数
会計事務所側の環境
第1候補:マネーフォワード クラウド会計(スモールビジネス)年額の低い順:MF クラウド会計 スモールビジネス 53,760円/freee会計 ひとり法人 59,760円(利用者2名分の追加を含む)/弥生会計 Next エントリー 34,800円。 外れた製品:勘定奉行iクラウド(この人数まで利用者を増やせるプランが台帳にない)。 条件:年500〜3,000仕訳/利用者2〜3名/会計事務所の環境はクラウド会計。 金額は2026-08-12時点の各社公表料金に基づく試算で、税の扱いと従量課金の有無は製品ごとに異なります。根拠の数値を見る ↓

2. 主要3社の比較表(14項目)

凡例: 対応  条件つき × 非対応 / 料金・上限は2026年08月12日時点、機能は2026年7月時点の各社公開情報

比較項目 freee会計 マネーフォワード クラウド会計編集部おすすめ 弥生会計 Next
基本料金(税別)月額換算(年払時) 月2,980円〜 月2,480円〜(ひとり法人プランは2,480円/月) 月2,900円〜
料金3名利用時の年額(税別・年払) 65,760円(スターター・3名込み/別途従量課金) 53,760円(スモールビジネス・3名込み) 34,800円(エントリー・3名込み/従量課金の制限あり)
ユーザー課金の起点 ひとり法人は2名目から1,000円/月(最大2名)。スターター以上は4名目から300円/月 スモールは3名まで。ビジネスは4名目から300円/月 4名目から300円/月(3名まで追加費用なし)
年間仕訳件数の上限 上限なし(プランにより従量課金あり) ひとり法人のみ500件/年。スモール以上は上限なし 上限の具体値は非公開(プランごとに従量課金の制限あり)
無料トライアル期間 30日間無料 1か月無料 最大2か月無料
実務・運用承認ワークフロー (上位プランで本格対応) (経費・支払依頼と連動) (弥生ワークフロー連動)
多拠点・部門階層管理 (タグ管理による多角分析) (ビジネスプランで複数階層可) (プランにより制限)
外部サービスAPI連携 (非常に豊富、AppStoreあり) (API接続・自動取得網羅) (主要銀行・決済に対応)
会計事務所とのデータ共有 (認定アドバイザー制度) (クラウドパートナー) (弥生PAPネットワーク、圧倒的)
サポート主なサポートチャネル チャット/メール(電話は最上位) チャット/メール 電話/チャット/メール(手厚い)
思想・性質最も重視される要素 経理業務全体の自動化・省力化 従来の仕訳ベース記帳の速さとERP化 圧倒的なシェア、税理士連携、安心サポート
3社とも同じだった3項目 初期導入費用 0円/インボイスT番号の自動照合に対応/電子帳簿保存法に対応(保存方式の違いは各レビュー参照)
公式サイトを見る → 公式サイトを見る → 公式サイトを見る →

出典:各社公式の料金ページ(freeeマネーフォワード弥生)。出典リンクは広告ではありません。

3. 料金の内訳と年額の比較

3名利用時の年額は「基本料金(年払)+追加ユーザー料金×12か月」で算出しています。freee会計はスターター(3名込み・65,760円)に取引件数などの従量課金が別途発生します。マネーフォワード クラウド会計はスモールビジネス(3名込み・53,760円)で従量課金はありません。弥生会計 Nextはエントリー(3名込み・34,800円)が下限で、プランごとに従量課金の制限があります。全プランの内訳はクラウド会計の料金・プラン比較にまとめています(料金調査日: 2026-08-12時点・税別)。

4. 選び方の3つの軸

3社の違いは「入力方式」「周辺業務との一体化」「会計事務所との接続」の3点に集約されます。簿記の知識が浅く自動化を優先するならfreee会計、従来の仕訳形式のまま経費・請求書・給与と一体で運用したいならマネーフォワード クラウド会計、会計事務所とのデータ共有とサポート体制を重視するなら弥生会計 Nextが候補になります。

細かく見る場合の6つの軸

自社に最適なソフトを客観的に評価するため、以下の6つの比較軸をもとに各製品を精査してほしい。

01

使いやすさ
簿記の知識が浅くても直感的に操作できるか。仕訳派か取引入力派か。
02

料金プラン
月額基本料金、初期費用、追加ユーザー課金、無料体験期間の長さ。
03

自動化連携力
銀行口座、クレジットカード、他社製SaaSやPOSレジ等とのAPI接続範囲。
04

制度対応
インボイス番号の自動検証、電子帳簿保存法(JIIMA認証)のストレージ仕様。
05

サポート体制
チャット、メール、電話サポートの有無、導入時サポートの充実度。
06

税理士(事務所)連携
顧問税理士と同じ画面をリアルタイムに共有し、監査をスムーズに行えるか。

事業規模別の目安

事業のフェーズや規模によって、会計ソフトに求める機能や満たすべき要件は大きく変化する。

1. 個人事業主・フリーランス・起業初期

このフェーズでは「簿記の専門知識がなくても、自力で確定申告を終わらせられるか」が最重要指標となる。仕訳の貸借(借方・貸方)の概念を意識させないUIをとる「freee会計」や、確定申告機能がシンプルにまとまっており小規模向けプランの価格が安い「やよいの青色申告 オンライン(または弥生会計 Next)」が有力な選択肢となる。

2. 小規模法人・中小企業

メンバーが複数人になり、経理の専任者(または総務兼任者)が実務を回すようになる中小企業では、「業務の分担」と「内部統制(承認フロー)」がポイントになる。また、売上管理(請求書発行)や経費精算、給与計算などの周辺業務と連動させ、仕訳を二重入力しないための拡張性が求められる。この領域では、マネーフォワードのクラウド製品群との連携や、freeeの統合型プランが強みを発揮する。

3. 中堅企業・多拠点展開

部門管理が複数階層(例:営業本部 > 営業1課 > チームA)にまたがる場合や、拠点が複数ありそれぞれの拠点責任者が経費の承認を行うようなワークフローが必要な場合、中堅企業向けの「ビジネスプラン(上位プラン)」や中堅専用モジュールの検討が必要になる。マスタ同期の安定性やユーザー別の詳細な権限管理(閲覧のみ、編集可など)が選定の軸となる。

事業の規模(個人・小規模法人・中堅企業)と、「今どの業務に一番手間がかかっているか」を整理してから比較を始めると、システム選定で失敗しにくくなります。料金・機能の詳細は変更される場合があるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。

5. おすすめ3社の詳細

掲載順は編集部評価(editor_rank)です。報酬額のみを根拠に順位を動かすことはしていません。

1第1位編集部イチオシ
マネーフォワード クラウド会計仕訳形式のまま、周辺業務まで1本化できる月2,480円〜
✓ こんな人におすすめ
複数サービスの連携・バックオフィス統合を重視する中小〜中堅企業。従来の仕訳入力形式を崩さずにクラウド化したい経理担当。
! 気をつけたい点
多機能であるため初期設定やマスタ連携に一定の工数がかかる。また、プランによって機能上限や追加メンバー課金がある。
2第2位
freee会計簿記の知識が浅くても回せる。2名目から課金される点に注意月2,980円〜詳細レビュー →
3第3位
弥生会計 Next顧問税理士が弥生系なら第1候補。3名まで追加費用なし月2,900円〜詳細レビュー →

6. 基礎知識と導入前の確認

従来のインストール型との違い

クラウド会計ソフトを比較する前に、従来のPCにインストールするタイプ(デスクトップ型)とクラウド型で、経理実務における何が決定的に変わるのかを理解しておく必要がある。主な違いは以下の4点である。

  • Mac対応とマルチデバイス利用:インストール型はWindows専用であることが多く、Macユーザーは動作させることが難しかった。クラウド型はOSを問わずWebブラウザで動くため、MacPCやタブレット、スマートフォンアプリからでも同じ会計データに同時にアクセスして操作できる。
  • 法改正やアップデートの自動対応:インボイス制度の導入や電子帳簿保存法の改正、消費税率の変更などのタイミングにおいて、インストール型ではソフトの買い替えや手動アップデート作業が必要であったが、クラウド型はシステム側で自動更新されるため、追加コストや作業の手間が一切発生しない。
  • データバックアップとセキュリティの担保:PCの故障やオフィスの被災によるデータ消失のリスクがない。すべてのデータは暗号化されて堅牢なクラウドサーバー上に保存され、自動でバックアップが行われているため、データの管理コストがゼロになる。
  • 銀行・クレジットカードの明細データ同期:これが最大の変革点である。オンラインバンキングやクレジットカード、POSレジ、決済サービスと連携し、日々の明細データを自動で取得して仕訳の下書きを作成するため、通帳を見ながら手入力する転記作業がほぼ撲滅される。

導入前に確認したい:インボイス制度・電子帳簿保存法

2023年10月に開始された「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」と、2024年1月に義務化された「電子帳簿保存法(電帳法)」への対応は、会計ソフトの導入・リプレイスにおいて避けて通れない法的要件である。本記事で比較する3社はいずれもこれらの制度に完全対応しているが、実務上のアプローチや使い勝手には以下のような違いがある。

1. インボイス制度への実務対応力

仕入税額控除を受けるために、受け取った請求書に記載された「適格請求書発行事業者登録番号(T番号)」を自動で検出し、国税庁のデータベースと照合する機能が必須となる。freeeとマネーフォワードは、領収書のスキャン時や自動同期明細から登録番号を自動で抽出し、有効な番号であるかをバックグラウンドで自動検証する機能を備えている。また、2026年10月から免税事業者からの仕入れに係る経過措置控除が「80%」から「70%」へと引き下げする点についても、取引日付と税区分マスターの自動連動によって計算漏れを防ぐ仕様となっている。

2. 電子帳簿保存法への保存要件対応

メールで受け取ったPDFの請求書やレシートなどの電子取引データは、紙に印刷して保存することが禁止され、電子データのまま検索要件(取引日・金額・取引先での検索)を満たして保存する必要がある。3社ともにJIIMA認証(電帳法の要件を満たしていることの公的認証)を取得した専用の保管BOX(freeeファイル、マネーフォワード クラウドBOX、弥生のスマート証憑管理)を無償で提供しており、仕訳データと添付した証憑画像が強固にリンクした状態で法的に正しい電子保存を完了できる。

経理の手間を減らす「自動化」のしくみ

クラウド会計ソフトを導入する最大の価値は、日々の記帳自動化によって、経理担当者の「データ手入力時間」をいかに削減できるかにある。自動化を支えるコア機能は以下の3つである。

① 銀行・クレジットカードとのデータ連携:金融機関のオンラインバンキング口座やクレジットカードの明細データを自動で同期し、未仕訳データとして取り込む。これにより、日付と金額、摘要欄が自動で入力された仕訳の下書きが自動生成されるため、入力間違いが構造的に排除される。

② レシート・請求書の高精度OCR読み取り:スマートフォンのカメラで領収書を撮影、またはPCからPDF請求書をアップロードするだけで、AI-OCRが「取引日」「金額」「取引先名」を解析して仕訳候補に変換する。紙の領収書をファイリングする手間と、金額をキーボードで打ち込む手間の双方が軽減される。

③ AI仕訳の学習とルールの自動適用:同じ取引先や摘要(例:電気代やオフィスの家賃など)が繰り返し取り込まれると、AIが学習し、適切な「勘定科目」や「補助科目」を自動的にセットする。さらにユーザーが「自動仕訳ルール」を作成することで、明細同期と同時にチェックなしで自動記帳を完了させることも可能になる。

自動化のロジックや仕訳のチェック画面の見やすさは各社で異なるため、無料お試し期間中に、最も頻度の多い日常取引のデータを実際同期してテスト検証することが強く推奨される。

7. よくある質問

Q料金プランの年払いと月払いでどれくらい金額が変わりますか?
各社とも、1年分の利用料金を一括で支払う「年額プラン(年払い)」を選択することで、月払いに比べて約15%〜25%程度、月額換算のコストを抑えることができます。長期間利用することが確定している場合は、年額プランを選択することを強く推奨します。詳細な金額差は、各社の公式サイトの最新の料金シミュレーターをご利用ください。
Qこれまで使っていた弥生会計や他のインストール型ソフトから、データを綺麗にクラウドへ移行できますか?
はい、移行可能です。主要なクラウド会計ソフトには、他社製ソフトからエクスポートした仕訳CSVデータや勘定科目マスターを、自社の形式にマッピング(変換)して一括で取り込めるインポート機能が備わっています。ただし、ソフト間で消費税コードの定義や勘定科目の階層構造が微妙に異なる場合があるため、取り込み直後に「残高試算表(T/B)」の数字が移行元の決算書の数字と完全に一致しているかを必ず監査する必要があります。
Q顧問税理士が「クラウド会計は使えない」と反対するのですが、どうすればいいですか?
税理士がクラウドを嫌がる主な理由は、使い慣れた仕訳帳形式の入力と画面構成が異なり、監査作業の効率が落ちる(特にfreeeの独自UIが敬遠されやすい)ためです。この場合の解決策としては、①従来の仕訳ベースのUIを踏襲している「マネーフォワード クラウド会計」を提案する、②税理士が最も得意とする「弥生会計シリーズ(弥生会計 Nextなど)」を選択する、③クラウド会計の活用に習熟した「認定アドバイザー」や「公認パートナー」として登録されている別の税理士への切り替えを検討する、の3点があります。
Q法人の「決算書作成」や「税務申告」まで、クラウド会計だけで自分ですべて完結できますか?
「決算書(貸借対照表・損益計算書・個別注記表など)」の作成までは、日々の入力が正しければクラウド会計上でボタン一つで自動生成できます。しかし、法人の税務申告書(別表の作成など)や地方税の申告書の作成は、会計ソフトの基本機能とは別建ての「税務申告専用ソフト」を使うか、国税庁の「e-Tax(またはeLTAX)」にデータを連携して作成する必要があり、専門的な税務知識が不可欠です。法人の申告実務においては、決算書まではクラウドで自社作成し、最終的な税務申告書の作成と納税額の確定については税理士にダブルチェックを依頼する体制をとるのが最も一般的かつ安全な選択です。

8. まとめ

  • 簿記に不慣れで、日々の入力を自動化したい → freee会計
  • 仕訳形式のまま、経費・請求書・給与と一体で運用したい → マネーフォワード クラウド会計
  • 顧問税理士が弥生系で、コストを抑えたい → 弥生会計 Next

いずれも無料期間があるため、実データを入れて仕訳の移行と入力の相性を確かめるのが最も確実です。

出典:各社公式サイト(料金・機能は2026年7月時点の調査情報に基づく)
最終更新:2026年7月13日
掲載順は編集部評価(editor_rank)で、アフィリエイト報酬の額のみを根拠に順位を操作・変動させることは一切していません。

【記事情報】
・監修:本記事は税理士等の有資格者による監修を受けていません。
・免責事項:本記事は公開・更新時点の公表情報に基づき執筆していますが、個別の税務判断については管轄税務署または担当税理士へご相談ください。各サービスの料金・機能の最新情報は各公式サイトをご確認ください。