請求書発行に特化したソフトは、無料枠の広さを重視するなら個人事業主・小規模法人向けのMisoca、見積書や受発注まで一人で完結させたいならboard、取引先数の増加に合わせて拡張したいならMakeLeapsが軸になる。売掛金管理や入金消込まで一元化したいなら、発行特化ツールでは機能が届かない。

請求書発行ソフト3社の機能比較

会計ソフト本体とは別に「請求書を作って送る」作業だけに特化したツールを導入する企業・個人事業主は多い。代表的な3製品を機能面で比較する。

比較軸 Misoca board MakeLeaps
提供元 弥生株式会社 株式会社ヴェルク MakeLeaps株式会社
主な強み 個人事業主・小規模法人向けの割り切ったシンプルさ 見積・発注・売上管理までを一体で扱える 取引先数に応じた従量課金で規模拡張に対応
料金の区切り方 月間の発行通数でプランが変わる 利用人数でプランが変わる 利用人数・取引先数で料金が変わる
郵送代行 あり(1通ごとに従量課金) あり(郵送チケット制) あり(郵送ポイント制)
会計ソフトとの連携 弥生製品と自動連携 freee・マネーフォワード・弥生など複数の会計ソフトに対応 複数の会計ソフトにエクスポート対応

なお、Misocaは弥生株式会社が提供するサービスで、料金ページも弥生の公式サイト内に統合されている。スマートフォンアプリからの申込み専用となるプラン15(ライト)は、郵送代行や回収保証サービスといったオプションには対応していない点に注意したい。請求書の適格請求書(インボイス)対応や記載要件そのものについては、適格請求書(インボイス)の書き方と必須記載事項の確認チェックで個別に整理されているので、制度面の詳細はそちらを参照したい。

請求書発行ソフトの料金プラン比較

2026年8月2日時点で各社の公式サイトに掲載されている料金は次の通り。

製品 無料プラン 有料プランの目安 郵送代行
Misoca 月10通まで・永年無料 プラン15:年額8,800円+税(月15通まで)/プラン100:年額33,500円+税(月100通まで) 210円(税抜)/通
board なし(Personalプランから) Personal:月額1,200円(税抜・1名)/Basic:月額2,400円(税抜・3名まで) 195円(税込)/通
MakeLeaps 0円(フリープラン) 個人プラン:1,000円/ユーザー(税抜)/法人プラン:1,300円/ユーザー(税抜)+取引先数従量 1ポイント195円(税込)

調査日: 2026-08-02(各社公式サイト)

個人事業主が1人で月20通の請求書を発行するという条件を揃えて独自に計算すると、料金表の数字以上の違いが見える。Misocaは料金プランが月間発行通数で区切られているため、20通は無料プラン(月10通まで)にもプラン15(月15通まで)にも収まらず、プラン100(年額33,500円+税)まで一段階上げる必要がある。一方でboardとMakeLeapsは発行通数そのものに上限を設けておらず、利用人数や取引先数で料金が決まる設計のため、1人利用であればboardはPersonalプラン、MakeLeapsは個人プランのまま20通を発行できる。発行「通数」で伸びる事業か、利用「人数」や「取引先数」が増える事業かによって、同じ月額表示でも実質コストの伸び方は変わる。

請求書発行ソフトの選定基準

料金の安さより先に、次の5点で自社の使い方を整理しておくと選定を誤りにくい。

  • 月間の発行通数が無料枠・下位プランの上限を超えるか
  • 郵送代行の要否と単価(税込・税抜の表記が会社ごとに異なる点に注意)
  • 複数人での利用や承認フローが必要か
  • 会計ソフトとの仕訳連携で自動反映される範囲
  • 今後の取引先数の増加見込み(従量課金の設計に直結する)

会計ソフト側でどこまでインボイス対応が必要かを先に確認したい場合は、インボイス対応の会計ソフト選び方もあわせて確認しておくと、発行ソフトと会計ソフトの役割分担を決めやすい。取引先ごとに請求書のテンプレートや振込先を使い分けたい場合、boardやMakeLeapsのように管理画面上でテンプレートを一元管理できる製品の方が、Misocaのような発行通数型のシンプルな製品よりも運用の手間を抑えやすい。逆に複数人でのテンプレート共有機能を持たない製品では、担当者ごとに書式がばらつくという弱点が出やすい。請求書番号や振込先の変更履歴を複数人で共有しながら管理したい場合は、個人向けの発行ソフトよりもチーム機能を前提にした設計の製品を選んだ方が、後からの運用変更が少なく済む。

見積書や納品書の扱いも製品によって違いがある。Misocaは見積書・納品書の作成をプランの通数制限から除外しており、無料プランでも見積書・納品書は作成し放題という設計になっている。プラン間の差は請求書の発行通数だけに現れる。boardやMakeLeapsは見積・発注・請求を一連の案件管理の中で扱う設計のため、見積書だけを多く作る使い方でも人数課金の範囲であれば追加費用は発生しない。日常的に見積書を多く出すが実際に成約する請求書は少ない、という業態であれば、この違いは料金試算に直結する。Misocaにはさらに発行数の多い事業者向けに月1000通まで発行できる上位プランも用意されている。将来的な事業拡大を見込むなら、上限が明確なプラン設計か、人数課金だけで伸ばせる設計かも確認しておくとよい。

請求書発行ソフトの導入をやめておいた方がいい場合

次のようなケースでは、専用の発行ソフトを新規に導入する優先度は低い。

  • 発行数が無料プランの範囲(月10通程度)に収まる場合。有料プランへの切り替えは発行数が増えてからで十分間に合う
  • すでに使っている会計ソフトに請求書発行機能が付属しており、その機能だけで運用が回っている場合。別ツールを追加すると二重管理やデータ不整合のリスクがかえって増える
  • 従業員数が多く、売掛金管理や入金消込まで一元化したい中堅企業。発行特化ツールでは機能が届かず、売上管理・請求システム比較で扱うような、より広い範囲をカバーするシステムを検討すべき局面になる

請求書発行ソフトと会計ソフト・債務管理システムとの違い

請求書発行ソフトが扱うのは「自社が取引先へ請求書を発行する」業務、つまり売上・入金側(AR)の入口にあたる部分である。取引先から届いた請求書を受け取り、支払処理まで管理する業務は逆方向(AP)にあたり、債務管理システム比較で扱う領域になる。両者は独立した業務であり、発行ソフトを選ぶ際に支払管理の機能を求めても得られない。

個人事業主が2027年の確定申告に向けて周辺ソフトを整理するタイミングでもあるため、個人事業主が2026年内に終わらせる会計ソフト設定もあわせて確認しておくと、請求書発行ソフトと確定申告ソフトの連携まで見据えた選定ができる。発行した請求書の控えは電子取引データとして保存義務の対象になるため、電子帳簿保存法の中小企業対応で保存要件も確認しておきたい。

まとめ:発行通数か、利用人数か で選ぶ

請求書発行ソフトは、月間の発行通数が伸びるタイプの事業ならMisoca以外の選択肢も比較し、利用人数や取引先数が伸びるタイプの事業ならboardやMakeLeapsの従量部分を試算しておくと、後から料金プランで悩む場面を減らせる。郵送代行の単価は税込・税抜の表記が会社によって異なるため、見積り時には税込ベースで揃えて比較するのが実務上のコツになる。


【記事情報】
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