個人事業主向け青色申告ソフトは、初期費用を抑えたいならマネーフォワード クラウド確定申告、サポート重視ならやよいの青色申告オンライン、簿記知識に不安があるなら取引ベースUIのfreee会計が軸になる。2027年1〜3月申告は現行65万円控除のままだが、その先を見据えた選び方が必要になる。

個人事業主向け青色申告ソフト3社の機能比較

法人向け会計ソフトと異なり、個人事業主向けプランは確定申告書の作成までを見据えた機能構成になっている。3社の個人向けラインを比較する。

比較軸 freee会計(確定申告) マネーフォワード クラウド確定申告 やよいの青色申告 オンライン
入力方式 簿記知識不要の取引ベースUI 仕訳帳ベースのUI(簿記経験者向け) 質問形式のかんたん入力に対応
プラン数 4段階(スタータースタンダードプレミアム入力おまかせ) 3段階(ミニパーソナルプラス) 3段階(サポート内容の違いで区分)
電話サポート 上位プランで対応 上位プランで対応 ベーシックプラン以上で対応
優良な電子帳簿への言及 あり(自動作成に対応と明記) 公式サイトでの明記は未確認 あり(2027年分からの75万円控除要件への対応を明記)

個人事業主向け青色申告ソフトの料金プラン比較

2026年8月2日時点、各社の個人事業主向けプランのうち最も安いプランを比較すると、表示形式は違っても年額の水準は近い。

製品 エントリープラン 年払いの月額表示 年額
freee会計 スタータープラン 年払いのみ表示 980円/月 11,760円
マネーフォワード クラウド確定申告 パーソナルミニプラン 年払いのみ表示 900円/月 10,800円
やよいの青色申告 オンライン セルフプラン 年額表示のみ 983円/月(年額を12で除した当サイト算出値) 11,800円+税

調査日: 2026-08-02(各社公式サイト)。すべて税別表示。

エントリープラン同士を条件を揃えて独自に計算すると、月額900円台〜千円弱という水準に3社ともほぼ収まっており、入口の価格だけでは大きな差がつかない。実務上の分かれ目は価格ではなく、電話サポートの有無や複式簿記の知識をどこまで前提にした画面設計かという点にある。freee会計は取引ベースの管理画面で簿記知識がなくても迷いにくい一方、複式簿記の経験がある人にとってはかえって遠回りに感じられ、向いていないこともある。マネーフォワード クラウド確定申告は仕訳帳ベースのため、簿記の心得がある人ほど速く正確に入力できる。freee会計にはさらに上位の「入力おまかせプラン」があり、年払いのみで月額4,150円(年額49,800円)。仕訳・入力作業の代行を含み、60件/月までの処理が基本料金に含まれ、61件目からは1件70円の従量課金が加わる。記帳作業そのものを外注したい個人事業主にとっては、ソフト単体の機能比較とは別の判断軸になる。ただし、プレミアムプランと入力おまかせプランはいずれも月払いには対応していないため、月ごとに支払いたい場合は選べない点に注意が必要である。マネーフォワード クラウド確定申告の上位プラン「パーソナルプラスプラン」も年払いのみで月額2,980円(年額35,760円)としており、freeeのスタンダードプランとほぼ同水準の価格帯に位置づけられている。

2027年1〜3月申告と、その先の75万円控除を見据えた選び方

2027年1〜3月に行う確定申告は令和8年分(2026年分)の所得が対象で、青色申告特別控除の上限は現行どおり最大65万円のままである。複式簿記での記帳とe-Taxによる電子申告などの要件を満たす必要がある(詳細は国税庁 No.2072 青色申告特別控除を参照。確認日: 2026-08-02)。

一方、令和9年分(2027年分、2028年1〜3月申告)からは、65万円控除の要件に加えて「優良な電子帳簿」の要件を満たすと控除額が最大75万円に引き上げられる見込みが示されている。優良な電子帳簿としての扱いを受けるには、対象年分の記帳を年の始めから要件どおりに行い、あらかじめ税務署への届出を済ませておく必要がある。現行65万円控除の届出手続については国税庁の届出手続きページで確認できる(確認日: 2026-08-02)。やよいの青色申告オンラインは公式サイトで「2027年(令和9年)分から改正される青色申告特別控除75万円の要件のうち『優良な電子帳簿』に対応」と明記しており、freee会計も優良な電子帳簿の自動作成に対応するとしている。マネーフォワード クラウド確定申告については対応状況の明記を確認できなかったため、乗り換えを検討する時点で各社に最新の対応スケジュールを問い合わせておきたい。

つまり2027年1〜3月の申告そのものは現行ルールで進めればよいが、ソフトを乗り換えるならその次の年分から控除額が変わる可能性を踏まえて選ぶ意味がある。

個人事業主向け青色申告ソフトの選定基準

価格差が小さい以上、次の5点で実務との相性を確認する方が選定の精度が上がる。

  • 複式簿記の知識レベル(取引ベースUIか、仕訳ベースUIか)
  • 電話・チャットサポートの有無とプランによる違い
  • 消費税の申告(インボイス関連)への対応要否
  • 令和9年分からの優良な電子帳簿への対応スケジュール
  • 家事按分や減価償却など個人事業主特有の処理の入力しやすさ

会計ソフト全般の料金の考え方を先に整理したい場合はクラウド会計の料金比較2026もあわせて確認すると、法人向けプランとの違いを踏まえたうえで判断しやすくなる。

個人事業主向け青色申告ソフトの導入をやめておいた方がいい場合

次のようなケースでは、有料の青色申告ソフトへすぐに切り替える必要性は低い。

  • 副業レベルの所得規模で、白色申告のままでも税額への影響が小さい場合。青色申告への切り替え自体を急ぐ理由が薄い
  • 消費税の課税事業者でインボイス関連の処理が複雑な場合。個人向けの軽量プランでは機能が届かず、法人向け相当のプランや税理士への相談が必要になることがある
  • 複式簿記に強い不安がある場合。いきなり有料プランを契約せず、まず無料体験で「取引ベース」か「仕訳ベース」かの入力方式が自分に合うか確認してから決めた方がよい

個人事業主から法人成りを見据えている場合は、個人向けプランのまま使い続けられるか、法人向けプランへの移行がスムーズかどうかもあわせて確認しておくと、乗り換えの手間を後から減らせる。

ソフト選びの前に年内にやっておくべき準備を確認したい場合は個人事業主が2026年内に終わらせる会計ソフト設定、確定申告シーズン全体の準備を俯瞰したい場合は2027年確定申告に向けたB2Bクラウド会計SaaS比較と事前準備ガイドを参照したい。

各社の詳しい評価を確認する

個別の製品についてさらに詳しく知りたい場合は、freee会計の評判と口コミ弥生会計Nextレビューで経理実務目線の評価を確認できる。個人向けプランは法人向けと機能範囲が異なるが、操作感や入力方式の傾向はおおむね共通している。

まとめ:価格差が小さいなら、入力方式とサポートで選ぶ

個人事業主向け青色申告ソフトは、エントリープランを比べても月額千円前後という水準にほぼ収れんしている。価格で迷う場面は少なく、実際に選ぶ決め手になるのは複式簿記への慣れとサポート体制、そして令和9年分から始まる可能性がある優良な電子帳簿への対応状況である。乗り換えを検討するなら、無料体験で入力方式を試したうえで、各社に最新の制度対応スケジュールを確認してから契約するのが実務的な進め方になる。


【記事情報】
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