年明けに慌てて1年分の記帳をさかのぼる作業は、会計ソフト側の設定が済んでいないことで起きます。設定は年内に一度だけ済ませれば、翌年の入力は日々の確認だけになります。ここでは2027年の確定申告に向けて、2026年内に終えておく設定を4つに分けて手順にしました。制度そのものの要件は税制ナビ側の記事にまとめてあるので、判断が必要な箇所ではそちらを参照してください。

勘定科目と家事按分を先に決める

個人事業主の入力でいちばん止まりやすいのが、自宅兼事務所の家賃や電気代のような「事業と家事が混ざる支出」です。ソフト側には家事按分の比率を登録する欄があり、ここを空のまま運用すると、決算のときに1年分をまとめて仕訳し直すことになります。

年内にやることは3つです。よく使う支出について勘定科目を決めておくこと、按分が必要な費目を洗い出すこと、按分比率とその根拠(床面積の割合や事業使用日数など)をメモとして残しておくことです。比率は税務署へ提出する書類に書くものではありませんが、根拠を残しておくと翌年以降の入力で迷いません。

ソフトによって家事按分の入力位置が違います。取引の登録時に按分するタイプと、決算時にまとめて振り替えるタイプがあり、後者は年内の入力を単純にできます。料金と機能の比較はクラウド会計の料金比較にまとめてあります。

銀行口座とカードの自動連携を通しておく

明細の自動取得は、連携の設定そのものに時間がかかることがあります。金融機関側の認証方式が変わっていたり、事業用の口座が個人の口座と同じIDに紐づいていたりすると、連携が途中で止まります。年内に一度通しておけば、申告期は取得済みの明細を確認するだけになります。

事業用の口座とカードを分けていない場合は、まず分けるところから始めます。分けずに運用すると、家事の支出が明細に混ざり、1件ずつ「事業か家事か」を判定する作業が発生します。この判定作業は自動化できません。

連携が通ったら、自動仕訳のルールを2〜3件だけ登録しておきます。毎月同じ支払(通信費・サーバー代など)が対象です。ルールを作りすぎると、後から例外が出たときに原因を追いにくくなります。

消費税の課税方式を確認する

2026年分の売上が1,000万円を超えるかどうか、インボイス発行事業者の登録をしているかどうかで、消費税の申告が必要かが変わります。必要な場合は、原則課税と簡易課税のどちらで計算するかによって、ソフト側の税区分の設定が変わります。

判定の基準そのものは制度の話なので、原則課税と簡易課税の制度判定基準を参照してください。 ソフト側の作業は、判定結果に合わせて課税方式を設定し、税区分が自動で入るかを数件のテスト入力で確かめることです。

簡易課税を選ぶ場合、事業区分ごとのみなし仕入率が使われます。区分が複数にまたがる事業では、ソフト側でも区分を分けて入力できるかを確認しておきます。

電子取引データの保存先を決める

電子で受け取った請求書や領収書は、電子のまま保存する必要があります。紙に印刷して保管する運用は認められていません。個人事業主の場合、メールの添付ファイルやWeb明細のダウンロードが対象になります。

保存要件の中身は電子取引データの保存要件チェックリストにまとめてあります。 年内の作業は、保存場所を1か所に決めることと、ファイル名の付け方を決めることの2点です。会計ソフトに保存機能がある場合はそこに集約でき、検索の要件も満たしやすくなります。実務での進め方は電子帳簿保存法の中小企業対応で扱っています。

保存場所を決めずに1年運用すると、申告時に「どのメールに何の請求書が入っているか」を探す作業が残ります。この探索は、保存要件を満たしているかどうかとは別に、単純に時間がかかります。

年内のチェックリスト

時期作業
〜9月事業用口座とカードの分離。会計ソフトの選定
10月勘定科目と家事按分の比率を決める。連携の設定
11月自動仕訳のルールを2〜3件登録。消費税の課税方式を確認
12月電子取引データの保存場所とファイル名の規則を決める。テスト入力で税区分を確認

法人の申告期対応については2027年確定申告に向けたSaaS比較と事前準備で別に扱っています。

よくある質問

Q1. 白色申告でも会計ソフトの設定は必要ですか

白色申告でも収支内訳書の作成が必要で、記帳義務があります。設定の手順はここまでの内容と変わりません。青色申告と違うのは、青色申告特別控除の適用がない点と、複式簿記が求められない点です。

Q2. 年の途中で会計ソフトを変えた場合、設定はやり直しになりますか

期首からの取引を新しいソフトへ取り込む形になります。移行の手順はソフトによって異なり、CSVの取り込みに対応しているかで作業量が変わります。期中の移行手順はクラウド会計ソフト導入手順にまとめてあります。

Q3. 家事按分の比率は毎年変えられますか

事業の使用実態が変われば比率も変わります。変えた年は根拠のメモも残しておくと、比率が動いた理由を後から確認できます。


【記事情報】
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