導入ガイド

PR 本ページはアフィリエイト広告を含みます

電子帳簿保存法の検索要件、freee・MF・弥生はどう満たすか

電子帳簿保存法の検索要件を、freee会計・マネーフォワード クラウド会計・弥生のどの設定・機能で満たせるか比較する。3社それぞれの具体的な設定手順と、検索機能そのものが不要になるケースまで、実務目線で丁寧に整理して解説する。

更新2026-09-27調査日2026年9月27日出典1件(本文中のリンク)監修なし
導入ガイド公開 2026年8月2日更新 2026年9月27日読了 約7分

電子帳簿保存法の検索要件(取引年月日・取引金額・取引先による検索)は、freee会計とマネーフォワード クラウド会計なら仕訳や取引に取引先情報を入力するだけで満たせます。弥生は会計ソフト本体ではなく、別サービスの「スマート証憑管理」側で証憑ごとに情報を設定する仕組みで、この起点の違いが3社で最も大きな差になります。

電子帳簿保存法の検索要件とは

電子取引データの保存には「真実性の確保」と「可視性の確保」が必要で、可視性の確保のうち検索機能については次の3要件が定められています。

  • 取引年月日、取引金額、取引先により検索できること
  • 日付または金額の範囲を指定して検索できること
  • 2つ以上の記録項目を組み合わせた条件で検索できること

制度そのものの詳しい解説や適用範囲は電子取引データの保存要件と電帳法における検索機能の構築手順にあります。電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引の3区分のうち、どれが義務でどれが任意かは電子帳簿保存法の区分×義務×猶予措置の横断整理にまとめています。

3ソフトの検索要件対応方法の比較

同じ検索要件でも、どの画面のどの入力で満たすかは3社で発想が異なります。

比較軸 freee会計 マネーフォワード クラウド会計 弥生(スマート証憑管理)
検索要件を満たす場所 ファイルボックス(証憑と取引の紐付け) 仕訳の摘要欄または取引先欄 会計ソフト本体とは別の「スマート証憑管理」
取引先情報の入力方法 取引への自動補完・OCRによる推測入力 摘要欄への手入力、または取引先欄への設定 証憑詳細画面でOCRまたは手動設定
日付・金額の範囲検索 ファイルボックス・仕訳帳の検索機能で対応 仕訳帳・振替伝票画面で標準対応 証憑一覧の検索条件で対応
周辺製品との自動連携 freee会計内で完結 マネーフォワード クラウドの各製品と連携 弥生販売・Misocaからの証憑は自動反映

検索要件対応にかかる追加費用

3社とも、検索要件そのものへの対応で追加料金が必須になる設計にはなっていません。

製品 検索要件対応の位置づけ 追加費用の有無
freee会計 全プラン共通の標準機能 追加費用なし
マネーフォワード クラウド会計 仕訳・振替伝票の標準機能 追加費用なし(仕訳への取引先情報の入力が前提)
弥生(スマート証憑管理) 弥生の会計・確定申告サービス契約者は無料で利用可 既存契約者は追加費用なし

具体的な設定手順

freee会計は、領収書や請求書のPDF・画像をファイルボックスにアップロードし、対応する取引に紐付けると、取引先・日付・金額といった電子保存項目がその取引の内容から自動的に補完されます。OCR解析による推測入力も併用されるため、手入力の手間は他の2社より小さい設計です。

マネーフォワード クラウド会計は、仕訳の摘要欄に取引先名を入力するか、仕訳の借方・貸方に「取引先」を設定するかのいずれかの方法で、検索要件のうち「取引先」による検索を満たします。日付・金額の範囲検索や複数条件の組み合わせ検索は、仕訳帳や振替伝票の画面で標準的に対応しているため、追加設定は基本的に不要です。

弥生は会計ソフト本体ではなく、別サービスの「スマート証憑管理」を使う設計です。証憑をアップロードした後、証憑の詳細画面で取引先名・日付・金額などをOCRまたは手動で設定すると、その情報をもとに検索できるようになります。弥生販売やMisocaと連携して取り込んだ証憑、取引先からデジタルインボイスとして受信した証憑については、これらの情報が自動で反映されます。一方で、それ以外の経路で受け取った証憑は手動での情報設定が残り、件数が多い事業者には不便に感じられる場面もあります。

freeeとマネーフォワードは会計ソフト本体の管理画面での日常的な入力作業の延長で要件を満たせるのに対し、弥生は証憑管理という別の作業ステップを挟みます。弥生会計本体には証憑の検索機能そのものが搭載されていない点が、他の2社と最も違うところです。日常的にどちらの操作フローに乗せやすいかは、既存の入力担当者の作業手順に左右されます。経費精算ソフトで受け取る領収書データも電子取引データ保存の対象になるため、経費精算システムの費用対効果で扱っている領収書のペーパーレス化とあわせて考えると、検索要件への対応も含めた業務設計がしやすくなります。

検索のほかに満たす2つの要件と、保存の対象

国税庁の案内(電子帳簿保存法対応!令和6年1月以降の電子取引データの保存方法について)は、電子取引データの保存のルールを3つに分けています。改ざん防止のための措置、保存したデータを見るためのディスプレイやプリンタ等の備付け、そして本記事の検索要件です。ソフトの設定で片づくのは主に検索の部分で、残りの2つは運用の決め方で満たすかどうかが分かれます。

改ざん防止は、次のいずれかをとります。

  • タイムスタンプが付いたデータを受け取る
  • 受け取ったデータにタイムスタンプを付ける
  • 訂正・削除の履歴が残るシステム等でやり取りし、保存する
  • 改ざん防止のための事務処理規程を定めて運用し、備え付ける

会計ソフトの証憑保管に置く場合は、使っている製品が3つ目の「訂正・削除の履歴が残るシステム」に当たるかを各社の案内で確かめておきます。確かめきれないうちは、4つ目の事務処理規程を併せて備えておくのが確実です。規程のひな形は国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトで公開されています。

保存の対象は、取引先から受け取ったデータだけではありません。電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月)は、取引に関して受領し、または交付する注文書・契約書・送り状・領収書・見積書などに通常書かれる事項を「取引情報」としており、自社がメールで送った請求書のデータも対象に入ります。受け取る側では、次のような経路がいずれも電子取引に当たると示されています。

  • 電子メールで受け取った請求書や領収書のデータ(PDFファイル等)
  • ホームページからダウンロードした請求書や領収書のデータ、画面に表示されたもののスクリーンショット
  • 電子請求書や電子領収書をやり取りするクラウドサービス
  • クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードの支払データ、スマートフォンアプリの決済データなどを使うクラウドサービス

ソフトの検索機能で探せるのは、ソフトに取り込んだ証憑だけです。メールの添付ファイルやECサイトの領収書が担当者の受信箱やダウンロードフォルダに残ったままでは、設定を整えても検索の対象に入りません。経路ごとに、誰がどこへ取り込むかを決めておくところまでが設定の一部です。国税庁の2資料の確認日:2026年9月27日。

検索要件で確認すべき点

検索要件への対応方法を踏まえると、実務では次の点を押さえておきたいところです。

  • 証憑を「取引・仕訳」に紐づけて検索したいか、証憑ファイル単体で検索したいか
  • OCRの自動読み取り精度と、手動で修正する頻度
  • 弥生販売・Misocaなど周辺製品からの自動連携があるか
  • 検索要件対応が会計ソフト本体の標準機能か、別サービス・別契約が必要か

会計ソフトそのものの選び方から見たい場合はfreee vs マネーフォワード徹底比較、解約時のデータの扱いまで含めて検討したい場合はクラウド会計を解約したらデータはどうなる?もあわせて読むと、電帳法対応だけでなく長期的な運用まで見据えて選定できます。

高度な検索設定が不要な場合

次のようなケースでは、ソフトの検索機能を使いこなすための設定に時間をかける優先度は低くなります。

  • 基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務調査等の際に電磁的記録のダウンロードの求めに応じられる体制がある場合。この条件を満たせば検索機能の確保自体が不要になる取り扱いがあります
  • 電子取引の件数が極端に少ない小規模な事業者。ファイル名に日付・取引先・金額を規則的に含めるか、取引先ごとにフォルダを分けるといった手作業でも検索要件を満たせるため、無理にソフトの検索機能に頼る必要はありません
  • 原則どおりの保存ができなかったことについて所轄税務署長が相当の理由があると認める場合で、税務調査の際にデータのダウンロードの求めと、データを印刷した書面の提示・提出の求めの両方に応じられるようにしているとき。この猶予措置ではデータを保存しておくだけで足り、事前の届出は要りません

この条件分岐や適用可否の細かいところは制度側の話になるため、電子帳簿保存法:電子取引データの保存要件チェックリストで自社が該当するかを見てから、ソフト側の設定を検討する順番が効率的です。

入力の起点が違うだけで、目指す状態は同じ

freee会計とマネーフォワード クラウド会計は日常の仕訳・取引入力の延長で検索要件を満たし、弥生はスマート証憑管理という別サービスで証憑ごとに情報を設定します。どの方式が自社に合うかは、経理担当者が普段どの画面で作業しているかに左右されます。すでに使っている会計ソフトがあるなら、まずはその製品の設定画面で取引先情報がどこまで入力されているかを見るところから始めるとよいでしょう。

各社の対応方法・料金の位置づけは3社の公式サイトで2026年8月2日に確認しています。


【記事情報】
・監修:本記事は税理士等の有資格者による監修を受けていません。
・免責事項:本記事は公開・更新時点の公表情報に基づき執筆していますが、個別の税務判断については管轄税務署または担当税理士へご相談ください。各サービスの料金・機能の最新情報は各公式サイトをご確認ください。

比較ハブへ記事情報へ