電子取引データの検索要件は3つです。税務職員のダウンロードの求めに応じられる状態なら、残るのは「日付・取引先・金額で検索できること」の1つだけになります。さらに基準期間の売上高が5,000万円以下なら、3つとも要りません。索引簿方式とファイル名方式の選び分けは、この2段の緩和のどこに自社が立っているかで決まります。
ダウンロードの求めに応じられるなら、ロとハは落ちる
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存では、電子帳簿保存法施行規則2条6項5号が検索機能の確保を求めています。中身はイ・ロ・ハの3つで、順に「取引年月日その他の日付・取引金額・取引先を検索の条件として設定できること」「日付または金額は範囲を指定して条件を設定できること」「2以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できること」です。
実務で押さえたいのは、この3つが常に全部必要とは限らない点です。質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じられるようにしている場合、ロとハは落ちます。さらにその状態で、基準期間の売上高が5,000万円以下であるか、または出力書面を日付および取引先ごとに整理して提示・提出できるようにしているなら、5号の要件そのものが丸ごと外れます。
この5,000万円という線は、令和5年度税制改正で入りました。改正前は1,000万円で、5倍に広がっています。いま自社が緩和の内側にいるかどうかは、この線がいつ動いたかで決まります。
| 電子取引を行った時期 | 検索要件が丸ごと外れる基準期間の売上高 |
|---|---|
| 〜2023-12 | 1,000万円 |
| 2024-01〜 | 5,000万円 |
| 出力書面ルート | 売上高不問 |
根拠は電子帳簿保存法施行規則4条1項柱書と2条6項5号(令和7年4月1日施行版)です。改正前の1,000万円基準は、令和5年12月31日までに行う電子取引に適用されます。
制度の立て付けそのもの、つまりどの区分にどの義務がかかり、猶予措置がどこまで効くかは、姉妹サイト税制ナビの3項目の充足判定フローで扱っています。ここから先の2方式は、その要件を実際にどう作るかの話です。
ファイル名方式が届くのは3項目の検索まで
ファイル名方式の作り方は、国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)の問19・問50・問54が示しています。受け取ったPDFなどのファイル名に、日付・取引先・金額を規則性のある順序で入れておくやり方です。挙げられている例は、2021年1月31日に株式会社霞商店から受領した110,000円の請求書を 20210131_㈱霞商店_110000 とするもので、これでOSやクラウドストレージのファイル名検索が3項目の検索になります。
| 規則2条6項5号の要件 | ファイル名方式での満たし方 |
|---|---|
| イ 日付・金額・取引先を検索条件にできる | 3項目を統一した順序でファイル名へ入力する。取引先ごとにフォルダを分け、ファイル名は日付と金額だけにする形でも要件を満たす |
| ロ 日付・金額の範囲指定 | ファイル名の文字列一致では作れない。ダウンロードの求めに応じられるようにして要件を外す |
| ハ 2以上の記録項目の組合せ | 同上。なお「AかつB」だけが求められ「AまたはB」は要らず、Aで検索した結果をBで絞り込む段階的な方式でも足りるとされている |
取り違えやすいのは、ロとハをファイル名の付け方の工夫で満たせると考えてしまうところです。範囲指定は文字列の一致では表現できないので、この方式を選ぶなら、ダウンロードの求めに応じられる状態が事実上の前提になります。裏を返せば、税務調査でデータを提出できるようにしてあるなら、ファイル名だけで完結します。
ファイル名方式では、日付や金額の範囲検索と、項目の組合せ検索が作れません。この2つを自力で満たしたいなら、方式そのものを変えることになります。
日付は和暦でも西暦でも構いませんが、混在は抽出の妨げになるため、どちらかに統一することとされています。年度の途中で表記を変えると、変えた前後で検索が通らない期間ができます。金額の桁区切りやカンマの有無、取引先名の略記も同じ理由で、最初に決めて動かさないほうが安全です。
索引簿方式なら3要件を自力で満たせる
索引簿方式は、受け取ったデータのファイル名には通し番号だけを付け、日付・取引先・金額は表計算ソフトの一覧表側で管理するやり方です。国税庁は同じ一問一答(令和8年7月)の問19解説と問50で、エクセル等で入力された項目間で範囲指定と2項目以上の組合せによる条件設定ができる状態であれば、検索機能の確保の要件を満たすと考えられる、としています。索引簿のサンプルは国税庁の参考資料ページで配布されています。
| 規則2条6項5号の要件 | 索引簿方式での満たし方 |
|---|---|
| イ 日付・金額・取引先を検索条件にできる | 一覧表の列として持つ。オートフィルタや検索でそのまま条件になる |
| ロ 日付・金額の範囲指定 | 表計算ソフトのフィルタ機能で満たせる。ダウンロード対応がなくても成立する |
| ハ 2以上の記録項目の組合せ | 同上。複数列に条件を掛ければよい |
| データへの到達 | 一覧表の通し番号とファイル名を対応させ、一覧表から取引データを探し出せるようにしておく必要がある |
2方式の差は、ここに集約されます。ファイル名方式は3要件のうち1つしか自力で満たせず、残り2つを緩和で外します。索引簿方式は3要件を自力で満たせるので、ダウンロードの求めへの対応が要件充足の前提になりません。ダウンロード対応そのものは難しい話ではないため、この差が表に出るのは、社外のシステムにデータを預けていて即座に一括提出できる形になっていない場合です。
逆に索引簿は、検索の入口を1ファイルに集約します。その1ファイルが壊れると全件が探せなくなります。ファイル名方式にこの単一障害点はありません。
もう一点、索引簿は検索機能を満たすための道具であって、改ざん防止措置とは別の話です。規則4条1項が求める措置、つまりタイムスタンプ、訂正削除の履歴が残るシステム、訂正削除ができないシステム、事務処理規程のいずれかは、どちらの方式を選んでも別に要ります。索引簿を作ったからその分が免除されるわけではありません。
索引簿の列は4つで足り、増やすほど埋まらなくなる
国税庁が配布しているサンプルの構成は、連番・取引年月日・取引金額・取引先の4列です。要件が求めているのはこの4つだけで、部門や勘定科目、備考といった列は要件の充足には関係しません。実務では管理のために足したくなりますが、列が増えるほど入力が止まりやすくなり、止まった行は日付か金額のどちらかが空欄のまま残ります。空欄の行は検索に掛かりません。その1件については、検索機能が確保されていない状態になります。
連番の付け方も先に決めておく箇所です。年をまたいで通し番号を続けるか、課税期間ごとに1から振り直すかで、ファイル名と索引簿の対応の取り方が変わります。課税期間ごとに振り直すなら、ファイル名の側に年を入れておかないと、翌期の1番と当期の1番が同名になります。サンプルの体裁をそのまま使う場合でも、この2点だけは自社で決めてから運用に入ることになります。
ECサイトとETCの読み違いで、件数の見積りは桁違いになる
方式を決める前に数える件数は、数え方で大きく動きます。とくに大きく動かすのが、ECサイトでの購入と高速道路の利用証明書です。この2つは、国税庁の一問一答(令和8年7月)の問44・問45・問46・問53が扱っています。
ECサイトについては、購入者の購入情報を管理するページ内で領収書等データをダウンロードできる場合、そのサイト上でデータの確認が随時可能な状態であれば、必ずしもダウンロードして保存していなくても差し支えないとされています。ただしこれはEC事業者側が真実性の確保と検索機能の確保の要件を満たしている場合に受けられる取扱いで、しかも各税法に定められた保存期間が満了するまで、そのサイト上で確認できる状態が続いている必要があります。期間の満了前に確認できなくなる場合は、その前にダウンロードして保存することになります。いま自社が使っているECサイトごとに、この条件を満たしているかを見てから、件数に入れるかどうかを決めることになります。
ETCの利用証明書は考え方が違います。利用証明書は納税者が必要に応じて自ら範囲を指定してウェブ上で発行してもらうもので、必ずしも全てを受領しているわけではないため、受領していない利用証明書についてまで発行を受けてダウンロードして保存する必要はないとされています。ただし、消費税の仕入税額控除のために任意の一取引に係る利用証明書の発行を受けた場合は、その利用証明書自体が取引に関して受領した書類に当たるため、電子帳簿保存法の要件を満たして保存することになります。高速道路の利用が多い事業者ほど、ここの読み違いで件数の見積りが桁違いになります。
メール本文で取引情報を受け取っている場合も件数を左右します。自社のメールシステムに検索機能を備えられないときは、メールの内容をPDF等にエクスポート・変換したうえで検索機能を備えて保存する方法が認められています。取引情報が失われないのであれば、合理的な方法により編集したもので保存して差し支えないとされているためです。この変換を挟むかどうかで、月次の作業量は変わります。
「検索できる」の意味は取扱通達4-9で決まっている
どちらの方式を採るにしても、前提として「検索できる」の定義を外すと成立しません。電子帳簿保存法取扱通達4-9は、電磁的記録の記録事項の検索をすることができる機能とは、検索により探し出された記録事項のみが整然とした形式及び明瞭な状態で出力される機能をいう、としています。この定義は国税庁の一問一答(令和8年7月)の問54解説にも引かれています。
決め手は「探し出された記録事項のみ」の部分です。フォルダを開いて目で追い、それらしいファイルを見つける運用は、条件に合うものだけが抽出されているわけではないので、ここでいう検索機能には当たりません。ファイル名方式が要件になり得るのは、OSやストレージのファイル名検索が条件に合うものだけを一覧に出すからです。索引簿方式が要件になり得るのも、表計算ソフトのフィルタが条件に合う行だけを残すからで、表を作って目視で探す運用は同じ理屈で足りないことになります。
保存する場所と期間の指定も見落としやすい箇所です。規則4条1項は、その取引情報の受領が書面により行われたとした場合、または送付が書面により行われその写しが作成されたとした場合に、国税に関する法律の規定により当該書面を保存すべきこととなる場所に、当該書面を保存すべきこととなる期間、保存しなければならないと定めています。方式の議論は検索の作り方に寄りがちですが、置き場所と保存年限は方式と無関係に別途決まります。個人の端末のダウンロードフォルダに残しているだけ、という状態はここで引っかかります。
方式を決めるのは売上高・出力書面・ダウンロード対応
選び分けは好みでは決まりません。自社の状態が決まれば、必要な検索機能と現実的な方式まで一本道です。
| 自社の状態 | 必要な検索機能 | 現実的な方式 |
|---|---|---|
| 基準期間の売上高が5,000万円以下・ダウンロード対応あり | なし(5号が丸ごと外れる) | どちらも不要。フォルダに保存するだけで足りる |
| 出力書面を日付・取引先ごとに整理して提示できる・ダウンロード対応あり | なし(同上) | 同上。ただし出力と整理の手間が別に発生する |
| 売上高5,000万円超・ダウンロード対応あり | イのみ | ファイル名方式で足りる |
| 売上高5,000万円超・ダウンロード対応が確保できない | イ・ロ・ハの3つ | 索引簿方式(または検索機能を持つシステム) |
出力書面ルートを選ぶ場合、整理の仕方は取扱通達7-3が3通りを示しています。課税期間ごとに日付順にまとめてから取引先ごとに整理する、課税期間ごとに取引先ごとにまとめてから日付順に整理する、書類の種類ごとに前2者と同様に整理する、のいずれかによることとされています。国税庁は、遅滞なく提示等ができるよう日頃から書面に出力して整理しておくことが望ましいとしており、調査の連絡を受けてから印刷を始める運用は想定されていません。
表の最後の行に当たる事業者は多くありません。ダウンロードの求めに応じるとは、保存しているデータそのものを提出できる状態にしておくことなので、自社のPCやクラウドストレージにファイルを置いているなら通常は満たせます。それでも索引簿方式に寄せる判断があり得るのは、検索の再現性を人に依存させたくない場合です。ファイル名方式は命名の統一が崩れた瞬間に検索が通らなくなり、崩れたことに誰も気づきません。索引簿なら空欄が見えます。
猶予措置と検索要件の緩和は、別の条文の別の話
ここまでの「要件が外れる」話は、いずれも規則4条1項の柱書に置かれた検索機能の緩和です。これとは別に、規則4条3項に猶予措置があります。災害その他やむを得ない事情により要件に従った保存ができなかったことを証明したとき、または所轄税務署長が要件に従った保存ができなかったことについて相当の理由があると認め、かつデータと出力書面の提示・提出の求めに応じられるようにしているときは、1項の規定にかかわらず電磁的記録の保存ができる、という組み立てです。
2つは効き方が違います。検索機能の緩和は要件そのものが外れるので、事前に自社で判定して運用を決められます。猶予措置のほうは「相当の理由があると認め」という所轄税務署長の判断が挟まるうえ、その事情が生じなかったとした場合に要件に従った保存ができなかったと認められるときは適用しない、というただし書が付いています。恒常的な運用の設計として当てにする性質のものではありません。
実務でこの2つが混ざるのは、どちらも「要件を満たさなくてよい」という言い方で説明されるためです。自社がどちらの話をしているのかは、判断の主体が自分か税務署長かで見分けが付きます。売上高5,000万円以下と出力書面の整理は自分で確かめられます。相当の理由は確かめられません。
月100件を超えると、索引簿方式は年2,400項目の追加入力になる
1件あたりの入力項目数は、ファイル名方式が3項目(日付・取引先・金額)、索引簿方式が5項目(ファイル名の連番1つと索引簿の行4つ)です。数え方は国税庁の一問一答 問50の2つの例示に沿っています。
| 電子取引の件数 | A ファイル名方式 | B 索引簿方式 | C 検索要件が不要 | B−A |
|---|---|---|---|---|
| 月10件(年120件) | 360項目 | 600項目 | 0項目 | +240項目 |
| 月30件(年360件) | 1,080項目 | 1,800項目 | 0項目 | +720項目 |
| 月100件(年1,200件) | 3,600項目 | 6,000項目 | 0項目 | +2,400項目 |
| 月300件(年3,600件) | 10,800項目 | 18,000項目 | 0項目 | +7,200項目 |
算式は、年間件数 × 1件あたり入力項目数(A=3 / B=5 / C=0)。基準日は2026年9月1日です。
この表が数えるのは入力項目数までです。1項目あたりの所要秒数は出所がないため、作業時間の削減幅として独り歩きさせられません。
月10件なら年間の差は240項目で、方式の違いはほぼ体感に出ません。月100件を超えたあたりから、索引簿方式は年2,400項目の追加入力になります。ここが分岐点で、件数が多い事業者ほど「索引簿を人手で維持する」判断は割に合わなくなり、検索機能を持つソフトへ寄せる話に変わります。月10件前後で、しかも売上高5,000万円以下なら、そもそも表を作る必要がありません。
C列を0項目と置いていることには補足が要ります。検索要件が外れるのは入力の話だけで、出力書面ルートを選んだ場合は年間件数と同じ枚数の出力と、日付および取引先による整理が別に発生します。月100件なら年1,200枚です。売上高5,000万円以下で外れるルートには出力の負担が無いので、同じ「0項目」でも中身がまったく違います。この2つを一括りに「検索要件が不要」と読むと、出力書面ルートを選んだ側だけが後から重くなります。
表は初期構築の手間も数えていません。ファイル名方式は命名規則を決めれば運用に入れますが、索引簿方式は表の雛形を作り、連番の振り方を決め、保存場所と表の対応を書き出す作業が先に立ちます。件数が少ないうちに索引簿へ寄せる判断が割に合いにくいのは、この初期分が年間の入力差より大きくなるためです。
個人事業者は前々年、法人は前々事業年度で判定する
2026年中の電子取引は、2024年分の売上高で決まる
個人事業者の判定期間は、電子取引を行った日の属する年の1月1日から12月31日までです。基準期間はその年の前々年なので、2026年中の電子取引について見るのは2024年分の売上高になります。ここでいう売上高は商品製品等の売上高、役務提供に係る売上高、農産物の売上高、賃貸料、山林の伐採または譲渡による売上高を指し、家事消費高やその他の収入は含みません。一時的に保有する資産を売却した金額も入りません。
順序としては、まず2024年分の売上高が5,000万円以下かどうかを見ます。以下なら、ダウンロードの求めに応じられる状態を整えるだけで検索機能の確保は不要になります。超えているなら、その年の取引件数を数えてから方式を決めます。件数を数える前に方式を決めると、後から入力量が想定と合わなくなります。
法人は決算期変更をまたぐと、月数換算が入る
法人の判定期間はその電子取引を行った日の属する事業年度で、基準期間は前々事業年度です。基準期間が1年でない法人は、基準期間の売上高を基準期間に含まれる事業年度の月数で割り、12を掛けた金額で判定することとされています。決算期変更をした法人はここで数字が動くので、変更した年度をまたぐ判定は前々事業年度の月数から確かめることになります。
判定の基準は消費税法37条の基準期間における課税売上高の判断基準の例によるとされていますが、規則4条1項は「売上高」と規定しているため、営業外収益や特別利益は含みません。一方で消費税法上の非課税売上額は含みます。免税事業者や簡易課税制度を適用している法人でも、非課税売上額を足すと5,000万円を超える場合は緩和の対象外になる、という順序で確かめることになります。
新規開業者と新設法人は、最初の2年に検索機能の確保が要らない
判定期間に係る基準期間がない新規開業者や、新設法人の初年度・翌年度の課税期間は、検索機能の確保の要件が不要とされています。開業直後にファイル名の命名規則を作り込む必要はなく、まずダウンロードの求めに応じられる保存場所を決めるところから始まります。ただし3年目には基準期間が生まれるので、そこで初めて売上高による判定が入ります。開業から2年の間に件数が伸びているなら、3年目の判定を待たずに方式を試しておくほうが移行の負担は小さくなります。
会計ソフトを使っているなら、判断はソフト側に寄る
ここまでは専用のソフトを使っていない前提の話です。検索機能を備えたシステムに保存しているなら、そのシステムが3要件を満たしている限り、ファイル名も索引簿も要りません。どのソフトのどの画面が要件のどこに対応するかは、freee・マネーフォワード・弥生の検索要件対応で扱っています。制度側の義務範囲と最低限の準備は電子帳簿保存法の中小企業対応、ソフトの選択そのものはクラウド会計ソフト比較が出発点になります。
混在についても国税庁は触れています。授受したデータの様態に応じて、検索機能を確保した電子データ保存と、出力した書面により管理している電子データ保存とが混在しても、調査等の際に提示等を求められたものを遅滞なく提示等できる限りにおいては差し支えない、とされています。会計ソフト側に入るデータと、メール添付で来るPDFを別の方式で管理する運用は、この範囲に収まります。
自社が発行した請求書については、送ったPDFそのものではなくデータベース側で保存する選択肢もあります。保存の対象は取引情報、つまり注文書・契約書・送り状・領収書・見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項と定義されているため、相手方とやり取りしたデータそのものを保存しなければならないとは解されない、という整理です。記載した取引情報の全てが、変更されるおそれがなく合理的な方法により編集された状態で要件に従って保存されていると認められる場合には、データベースにおける保存も認められるとされています。ただし調査の際には実際に相手方へ提供したフォーマットに出力して確認を求められることがあるとも書かれているので、出力できる状態は残すことになります。
受け取る側と出す側で方式が分かれるのは自然です。出す側は発行システムが持つ台帳がそのまま索引簿の役割を果たすことが多く、受け取る側だけがファイル名方式か索引簿方式かの選択に直面します。件数を数えるときも、この2つは分けて数えたほうが実態に合います。
最初に見るのは前々年の売上高、最後が改ざん防止措置
- 前々年分(前々事業年度)の売上高が5,000万円以下かを見る。今週中 / 経理担当
- 保存しているデータを一括で提出できる状態かを見る。今週中 / 経理担当
- 直近3か月の電子取引の件数を数え、月間の実数を出す。今月中 / 経理担当
- 方式を決めたら日付表記(和暦か西暦か)と取引先名の書き方を1枚に書き出す。方式決定後すぐ / 経理担当
- 改ざん防止措置(規程またはシステム)がどれで満たされているかを見る。期末まで / 経理担当・顧問税理士
月10件・入力者が複数・既存システムありなら、索引簿は作らない
- 電子取引が月10件前後で、基準期間の売上高が5,000万円以下の場合。検索要件そのものが外れるため、表を作っても要件の充足には寄与しません
- 入力する人が複数いて、入力規則を書面で共有できていない場合。索引簿は列の意味がぶれると検索が通らなくなり、崩れたことがファイル名方式より見えにくくなります
- すでに検索機能を備えた会計ソフトや文書管理システムにデータが入っている場合。同じ情報を二重に持つことになり、両者がずれたときにどちらが正か決められなくなります
フォルダ分け・合計額・PDF分割は、いずれも認められている
ファイル名に日付と金額だけを入れて、取引先はフォルダ名で分ける形でも要件を満たします。国税庁は、取引先ごとにフォルダを区分して保存し、そのフォルダに保存している取引データのファイル名に日付と金額を入力しておくことでも、日付・金額・取引先を検索の条件として設定できるときは検索機能の要件を満たすとしています。
1か月分の取引がまとめて記録された納品書データは、個々の取引ごとに日付と金額を設定する方法のほか、そのデータを授受した際の発行日または受領日と、記録された取引金額の合計額を用いる方法でも差し支えないとされています。ただし各課税期間において自社で一貫した規則性を持たせることが条件で、日付を個々の取引日で持つなら金額も個々の金額で、日付を授受日で持つなら金額も合計額で揃える必要があります。
複数の請求書が1つのPDFに入っている場合は、取引ごとにデータの同一性を保持したまま記録事項を変更せず単に分割し、分割したファイルのファイル名に規則性を持った形で記録項目を入力して一覧性を持って管理し、かつダウンロードの求めに応じられるようにしている場合等には検索要件を満たすと考えられる、とされています。分割そのものは合理的な方法による編集の範囲内として扱われます。
【記事情報】監修: 本記事は税理士等の有資格者による監修を受けていません。免責事項: 本記事は公開・更新時点の公表情報に基づき執筆していますが、個別の税務判断については管轄税務署または担当税理士へご相談ください。各サービスの料金・機能の最新情報は各公式サイトをご確認ください。出典: 電子帳簿保存法施行規則(e-Gov法令検索・令和7年4月1日施行版)、国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和8年7月)問19・問44・問45・問46・問50・問53・問54、電子帳簿保存法取扱通達4-9・7-3。いずれも確認日 2026年9月1日。
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